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2017-01-22

たまには読後感想文の巻

皆様、ごきげんよう。
最近読んだ漫画が何冊かございまして、ニシユキテンの中の人と読後の印象を話しておりましたら、
「あぁ、そういう感想もあるのね…」
と発見があったそうで、その時の私が抱いた印象をご紹介しようかなと。
漫画好きな方は既にご存知かと思いますが、ご紹介するのは下記の3点でございます。

(1)『I【アイ】(全3巻)』いがらしみきお(2010-2013 小学館・月刊IKKI)
(2)『ハクメイとミコチ 5巻」樫木祐人(2017年1月14日 KADOKAWA)
(3)『竜と勇者と配達人』グレゴリウス山田(2017年1月19日 ヤングジャンプコミックス)

(1)『I【アイ】(全3巻)』いがらしみきお(2010-2013 小学館・月刊IKKI)
「最初はぞっとしたけど、読み終えたらハートフルやった」
I表紙

実は私、高校時代からいがらし先生のファンでして『ぼのぼの』(1986年―連載中 竹書房・まんがライフ・まんがくらぶ)を読み漁っておりました。それから約20年後に『羊の木』(原作:山上たつひこ 2011-2014 講談社・イブニング)を手にした時は、大変衝撃を受けました。それが数年前の出来事です。それまでいがらし先生の描くものといったら、『ぼのぼの』のようなラッコやらシマリスやらスナドリネコなどの可愛らしいイラストの動物たちがギャグと哲学的な言い回しで展開していくお話しか知らなかったのもあり、『羊の木』で描かれていた“人間”を描く生々しさにゾッとさせられました。作品が違うとこうも印象が変わるのかと驚いたわけです。
そんなおり、数日前に図書館で何気なく漫画コーナーをのぞいておりましたら、『I(アイ)』を見つけました。これはギャグ漫画ではない雰囲気がばりばりな装丁の外観に「むむむ!」となりながらも手にとり、覚悟を決めて1冊借りて帰ったわけです。
既に『羊の木』での免疫がありますから、そんなに衝撃を受けないだろうと高をくくっておりましたが、さすが、いがらし先生。1巻を読み終えた後は、思っていた以上に心がざわつき、話の続きが気になるわ、イサオくんが気になるわと心ここにあらずの1日を過ごしてしまいました。翌日速攻で続きを借りに行き、即日で読み終えました。
読後感は、『羊の木』よりも想像以上に自分の中でザワザワッとしていた部分が全くなかったこと、同時に、心象が思っていた以上にすこぶる良かったことでしょうか。

(2)「ハクメイとミコチ 5巻」樫木祐人(2017年1月14日 KADOKAWA)
「ちっちゃいもの好きにはやっぱりたまらん」
ハクメイとミコチ5巻

生き物や、小さいものが好きな方はきっと気に入るとおもいます。身長9センチのハクメイちゃんとミコチちゃんの共同生活を描いたお話であります。
動物や植物は原寸大のままなので、例えば、コーヒー豆1粒でも、ミルでひく前に豆をかち割ってある程度小さくしてからコーヒーミルを使う等、けっこう芸が細かいです。オオカミ、猿、イタチや狸、ネズミ、カブトムシ、フンコロガシ、ネコ、キツネなどの動物と普通に会話をしながら仲間として生活している様子も目を細めるぐらい可愛らしいです。
ハクメイちゃんが働く大工職員の仲間達との会話も可愛らしいです。

(2)『竜と勇者と配達人』グレゴリウス山田(2017年1月19日 ヤングジャンプコミックス)
「“勇者”の本当の意味が分かった気がする」
竜と勇者と配達人

ここ数年、(同じ括りとしてよいのか…おそらく同じジャンルだと思われる)『ダンジョン飯』(2015- 丸井諒子 KADOKAWA エンターブレインBC)をきっかけに、RPG等のファンタジー系のゲームでの仮想空間で展開している“日常生活”をあぶりだして物語が進んでいく物語が多数展開されております。
『ダンジョン飯』では、狩りをした後、食べていくためにモンスターを調理し、食すことで次の狩りに備えながら物語が進んでいきます。一方、『竜とー』に登場する主人公のハーフエルフの吉田さんは、皇帝都市アイダツィヒの駅逓局 ( えきていきょく ) に努めている郵便配達人の見習いをして生活しており、ただひたすらに見習い配達人として郵便物を届けているというお話です。とはいえ、なにせ見習いなので資金もなければ技量レベルも低い、ただひたすらに組織の下っ端で働く悪戦苦闘物語なのであります。同時に、随所に登場する専門職の方達の特徴が非常に個性豊かで、そういえばこんな職業がないとやっていけないわなぁ…と妙に納得してしまうところも面白いです。
例えば、勇者が竜を倒すためのダンジョンにでかけるというお話では、ダンジョンの一行に動向しますが、その御一行がとてつもなく大きなキャラバンで行動しているわけです。
勇者、魔術師、騎士…だけではなく、戦術結果を記録する記録屋、鍛冶屋、武器屋…ダンジョンに必要なありとあらゆるジャンルの業種の方達が同行しているのです。
勇者達の活躍により、無事に1頭の大きな竜をしとめることができるわけですが、その竜を捌く為にまた沢山の人たちが関わっているという展開がとても面白い視点だなと。
物語中で、
「竜を倒すと一つの町と1000人規模の雇用を生み出す。それこそが“勇者”。」
といったフレーズがあるのですが、『ダンジョン飯』では“食×ファンタジー”にスポットを当てているのに対し、『竜と―』は、“社会+仕事×ファンタジー”にスポットを当てているように感じました。

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