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2017-04-09

『まちのゲストハウス考』巡業 初場所in岡山 vol.1「ことのはじまり」から感じたあの頃のこと[長文]

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ゲストハウスにまつわる9人の運営者たちが綴った日々についての本が、学芸出版社より3月下旬に刊行されました。

その名も、『まちのゲストハウス考』

(四六判・208頁・定価 本体2000円+税 ISBN978-4-7615-2640-5 2017/03/25)

刊行出版記念ということで、4月8日[土]に岡山の奉還町4丁目にございます「奉還町4丁目ラウンジ・カド」にて記念イベントがあり、行ってまいりました。

 

第1部では、真野洋介さん(東京工業大学准教授)と片岡八重子さん(建築家・株式会社ココロエ代表)が中心となってなぜに「ゲストハウス」に関わるようになったのかという経緯や流れをとても丁寧にお話してくださいました。

第2部では、明石健治くん(とりいくぐる)、蛇谷りえさん(たみ・Y Pub&Hostel)さんを中心に、3つの場所が生まれるまでの経緯と現在についてお話してくれました。

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イベント後に強く感じたのは、真野さん、八重子さん、蛇谷さん、明石くんとの出会いと流れは、「岡山」という土地に自分がずっといたから出会いが繋がっていったのだなと。何というか、偶然にも出会いが折り重なっていたということでしょうか。

今日は、そんな出会いの一場面についてお話したいと思います。思い出話なのでとりとめもなく長いですが、よければお読みください。

私が彼らに出会った順番は、明石くん→蛇谷さん→八重子さん→真野さんとなります。

明石くんに至っては、彼がまだ学生の頃にまで遡るので、現在の青年紳士への成長ぶりに、目頭抑えてしまうちょっとした遠い親戚の姉さんのような気持ちになります。

蛇谷さんの存在は以前から知っていましたが、やはり「かじこ」での出会いが大きかったような気がします。

八重子さんに出会ったのは、確か2011年4月初旬でした。おそらく「たみ」物件下見の時です。

真野さんとは、たしか、「たみ」「やっち」ができて落ち着いた頃に、ココロエ関係の催しで八重子さん経由で出会いました。お話してみると、出身高校が同じというちょっとした嬉しい繋がりもありました。

2010年〜2012年頃、私自身、着ぐるみでの制作スタイルが落ち着き、「身体」ではなく、「言葉」を使った活動形態にシフトチェンジしている時期でした。今から振り返ると、現在の板段ボールを使用した2D仏像顔出し看板スタイルに至る前の大事な余白時期でもありました。
当時は、よく「ニシユキFM」というミニFMをイベントとして開局(?)し、“モテない女子の戯言”を中心に、ただ、ただひたすらぼやくという番組作りをおこなっておりました。自宅ではない外での「活動できる場」を求めていた時期でもありました。ですので、「かじこ」ができる準備期間からの関わりではなく、オープンして少し経過してからの「かじこ」に足を運んでいた3ヶ月間でした。後で話を聞くと、「やっち」で声をかけてくれた横山くんは、イベントに参加する形ではなく、“日常的にかじこ”を利用していたそうです。私とは真逆の関わり方をしていたことになるので、あとで話を聞いた時はとても印象的でした。

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【かじこ】女子ばかりが集まった伝説のイベント「かじコンパ」にて。せっかくなので岡山城のスワンボートに乗ろうということになった。

さて、「かじこ」でのイベント開催は、とても気軽に関わることができると同時に、私にとって未知数な部分もあり、とても貴重な経験になりました。「かじこ」クロージングイベントでは、本当に全国から沢山のお客さんが集結し、会期中いろんな形で関わっていたであろう人達の想いが、ひとつ屋根の下で温かく包まれた一夜となりました。夏のイベントでたまたま一緒に参加した知り合いが、秋の終わりには友達にかわっているという第2?第3の青春時代を過ごさせてもらったような錯覚をおぼえたのも「かじこ」の功績だったような気がします。

約3ヶ月オープンしていた「かじこ」が終わり、その後数ヶ月の間、なんとなく毎月1回飲み会を開くために声をかけてくれていたのが横山千秋くんです。「かじこ」での思い出話に花を咲かせながら、ゲラゲラと笑い合いながら冗談を言い合ったり、世の中についておもしろおかしくディスっておりました。メンバーは違えども、皆勤賞に近い割合で出席していたメンバーが、明石くん、ひろころり、私の3人でした。同時に、その頃、三宅くんと蛇谷さんはなにやらゲストハウスなるものを始めるらしいという情報が流れてきたりもしました。

そんな数ヶ月間の間。

2011年3月11日。東日本大震災がおきました。

テレビ、新聞、SNSで流れてくるニュースの悲惨さ、厳しい現実を目の当たりにする度、月日が経過するにつれ、遠くはなれた土地の自分にとってもやはり心は痛んでくるもので、表面上ではごく普通に日常生活を送っているつもりではでしたが、どこか常に悲しい気持ちが沈み込んでいたことには間違いないと思います。そんな中、3月下旬頃か、4月頃だったか。千秋君から飲み会を久しぶりに開催しようという知らせが届きました。

待ち合わせ場所となった居酒屋には、まず最初に明石くんと私が先に到着していたようで、しばらくの間、2人だけで時間を過ごしました。ほんの5分か10分かそこらでしたが、あの時の明石くんは、ちょっと挙動不審気味でソワソワと落ち着きがなかったのを覚えています。

「世の中は大変な時期なのに、自分達は呑気に集まっていていいのだろうか」

と、そんなことを感じながら、まずは当たり障りのない会話から始まり、徐々に、震災のあの日の話になっていきました。皆が集まるまでちょっと挙動不審だった明石くんも徐々に落ち着きを取り戻してきました。後で聞いたら、どうやら震災後に改めて外出先で家族以外と話をするのはその日が初めてだったそうで、ちょっと緊張していたということを知りました。こんな風に、それぞれが遭遇した出来事、思い等を、自分の言葉でポツポツと綴ったあの居酒屋での出来事は、連日のニュースをみてちょっと塞ぎがちな気分になっていた私のような者でさえも、かなり救われました。そんなきっかけをくれたのが横山くんで、「やっち」という場所を作るきっかけと、運営の声かけをしてくれたのも横山くんでした。自宅や職場でもない別の場所があの時期に存在し、関われたことは本当にありがたかったです。

さて。2011年4月初め。

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初めての松崎での一夜。よく見ると豪華なメンツが集まっていた。

「たみ」物件の下見の為鳥取へ行くらしいということで声がかかり、岡山から何名か車に乗り合わせて行ってきました。その一団の中に、何故か私もいて、道中、車を運転して岡山から鳥取まで運んでくれたのが八重子さんでした。三宅君から事前に、「柔道も帯持ちで建築家をしている人だよ」とだけ聞かされていたので、一体どんな方だろうとドキドキしておりましたら、想像した以上に小柄で、しかも舞台メイクをおとしたナチュラルメイクの大空ゆうひ様にそっくりで、しかもハートがナイスガイ!な素敵な女性でした。

その日は、八重子さんのナイスガイっぷりや松崎のおかあさん達のまちつくりへの意識の高さに驚いたり、八重子さんを筆頭にとにかくなんだかエネルギーが有り余っている御一行に、さすがの私も「あわわ、なんかすげーな」と思ったのを覚えております。行きか帰りの車中で、八重子さんのこれまでの活動について一通りお話を聞いたりして、まちとの関わりや、震災での出来事等を聞くことができました。

2011年9月。

その後、「たみ」がオープンするまでにも何度か鳥取に足を運びました。毎年10月の「3」と「8」の日に開催されている市に参加するための準備と会場の下見です。9月に松崎に行った時は、台風が直撃していて、皆で雨合羽を羽織って準備に奔走していました。

 

 

たみオープンの前日。再び松崎入りしました。
三八市の翌日は、地元のお祭りがあり、約1年かけて地元の方々と関係を築いた上で、三宅君と蛇谷さんが秋祭りでその地域の法被姿に包まれている二人の姿は、なんだか親心にも似て晴れがましい気持ちになったものです。
ちなみに、2011年の三八市では、私はミニFMを開局し、地元の方を交えて松崎の町についてのミニ番組を行いました。何故か犬の着ぐるみを着て放送しました。

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2011年の三八市。緊張しているのか。

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収録の合間か終わりか、余裕がみられる。

2011年10月に鳥取で「たみ」が無事にオープンし、同年11月に岡山で「やっち」ができました。
鳥取での関わりは、その後2013年の三八市まで続きました。

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2012年の三八市での様子。

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2013年の三八市。もはやただの仮装。

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【やっち】オープン前の様子

そして、数年間の「やっち」での活動を経て、私はスペースの運営よりもイベント主体とした自分の制作活動をメインに動いていくスタイルに変化し、明石くんは「とりいくぐる」の管理人という仕事に就くという、これまた不思議な運命を辿っていくことになります。

私が関わったことは、ほんの一瞬で、「幾つかの点」の一つでしかないけれど、こうして振り返ってみると、本当に色々と繋がっているものだなと実感した一日となりました。

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今日、4月9日は、京都で記念イベントだそうです。
お近くの方は、是非行ってみてはいかがでしょうか。

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『まちのゲストハウス考』巡業 京都場所 vol.2「暮らしをつなぐ」

http://www.gakugei-pub.jp/cho_eve/1704guesthouse_2/index.htm
日  時 : 2017年4月9日(日)
13:30開場、14:00~17:00
場  所 : 学芸出版社3階(京都駅徒歩5分)
定  員 : 50名
参加費 : 1500円
※本書を当日購入or持参の方は会費を500円引
懇親会 : 1000円(同会場)
主  催 : 学芸出版社
申  込 : 下記申し込みフォームより
お問合 : 学芸出版社 担当 : 岩切
MAIL: iwakiri@gakugei-pub.co.jp(※@を半角に) TEL: 075-342-2600

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